読書という荒野 見城徹 幻冬舎
-読書の量が人生を決める 本を貪り読んで苦しい現実を切り開け 苦しくなければ読書じゃない!-
見城徹という人
今まで編集者という職業にあんまり良いイメージはなかった。
正直、執筆中の作家に発破をかけるのが編集者という職業ぐらいに思ってた。
でもそれは全くの間違いで本書の言葉を借りると、
僕は編集者という仕事をしている。
編集者の武器はただ一つ、「言葉」だけだ。
言葉によって作家を口説き、心を揺さぶり、圧倒的な熱量の作品を引き出す。
しかし、言葉を選び取る作業はとてつもなく苦しい。
100% 自分の想いが伝わることはありえない。
100% に近づけようとするために無限とも思えるエネルギーを使って、言葉を選択する必要がある。
この作業にはいつも胸をかきむしられる思いがする。
んー、いぶし銀的なかっこいい職業だな
発破をかける職業なんてもう恥ずかしくてとても言えない(笑)
見城さんは子供の頃はコンプレックスの塊だったみたいで、劣等感にさいなまれてたらしい。
同級生だけでなく、教師にいじめられたり、自身がなくて
だけど強烈な読書体験でそれらを克服していった。
まさに本とともに人生を過ごしている人だ。
読書という荒野
この本の内容は、自身の生まれから、今に至るまでの半生を綴っていて、それを挟むようにその前後に見城徹の読書論が書かれている。
まず、言葉とはなにかから始まり、人間と動物を分けるのはこの「言葉」だという。
これを見てハイマン・シュタイインタールの言葉を思い出した
人間は言語によってのみ人間である。
引用元:シュタインタール 「ことばの起源」
そして自分が到底体験できないような経験を本の言葉を通じて多様な人間、多様な人生を疑似体験し、社会に対して深い洞察を得ることができると。
先ほどにも書いたが、この人は文字通り本や言葉とともに人生を過ごしており、見城さんの行動や決断の裏には常に本があった。
読書論というと、昔から有名なのがショウペン・ハウエルの『読書について』で、この本ではどちらかというと、
読書もいいけど自分の頭でも考えようね
みたいな感じだが、
見城さんの読書論では、本を読むということの辛さや苦しさや深さ、本を己の血肉とすることが語られている。
どんな人におすすめ?
本を読む人すべて、と言ったら範囲が広すぎるけど(笑)
自分のように編集者についてよく知らないという人も読書家みたいな人でも、
この本から言葉の重さが感じられると思う。
でも文章自体は読みやすいのでぜひ読んでみてください!